『笑ゥせぇるすまん』の印象的なフレーズ12選

誰しも作品名は聞いたことがあるであろう藤子不二雄Ⓐ先生の代表作『笑ゥせぇるすまん』

世代的にはアラサーの私よりも少し上になるかと思いますが、作品名はもちろん知っていますし、子どものときにテレビアニメが再放送されていた記憶もうっすらとあります。

嬉しいことに『笑ゥせぇるすまん』がAmazonのプライムビデオで視聴できるようだったので、全126のエピソードをイッキ見!

約30年前のアニメなので物語の時代背景が今とはズレているなと感じる部分もあったのですが、それでも「現代でも通じる教訓が多い」というのが正直な感想です。

そこで『笑ゥせぇるすまん』の印象的なフレーズ12選と題して、筆者が個人的に印象深かった作品中の喪黒やそのほかの登場人物のフレーズを紹介していこうと思います。

『笑ゥせぇるすまん』とは?

まずは作品をあまり知らない人、忘れている人のために『笑ゥせぇるすまん』について簡単に説明します。

『笑ゥせぇるすまん』は人々からお金を貰わず、ボランティアで活動するセールスマン・喪黒福造(もぐろふくぞう)が主人公のお話。

喪黒の仕事は「モテたい」「成功したい」「寂しい」などの現代人が持つ心の隙間を埋めることで、各話の登場人物の願いを叶えるモノやサービスを紹介していきます。

最初は、喪黒の力によって登場人物は幸せを手にするのですが、そのモノやサービスを利用する上では約束事があり、自身の欲望を抑えきれずにほとんどの人がその約束を破ってしまうのです。

喪黒との約束を破った人、喪黒からの忠告を聞かなかった人は最終的にとんでもない目に遭うことになるのでした。

『笑ゥせぇるすまん』はどれもブラックユーモアの効いたエピソードが特徴的です。

基本的に登場人物は毎回変わり、喪黒以外で複数のエピソードに登場するのは行きつけのバー「魔の巣(まのす)」のマスターくらいです。
一話完結で物語は進んでいくため、どのエピソードから見ても問題ありません。

AmazonプライムビデオのほかにもYouTubeに公式チャンネルがあり、ピックアップされたいくつかのエピソードは無料で視聴できるので、気になった方はそちらもチェックしてみてください。

全126話からピックアップした印象的なフレーズ12選

それでは早速、『笑ゥせぇるすまん』の全126話からピックアップした印象的なフレーズを紹介していきます。

ちなみに、私が視聴したのはAmazonプライムビデオの『笑ゥせぇるすまん』(89年~93年)デジタルリマスター版です。
耳で聴いたフレーズを文字に起こしているため、細かな言い回しなどが実際とは異なるかもしれませんがご了承ください。

「決断ステッキ」(第55話)

「決断ステッキ」(第55話)

「二股の道があるとすれば、右か左かどちらかを選ばねばなりません。ですが、その決断に深く悩んでも本当はあまり意味はないのです。なぜならどっちの道を選ぼうと、その結果の良し悪しは人生をやり直さない限り一生分からないからです。ですから、迷ったりせず即座に決断した方が時間の無駄にならなくて良いのですよ。」

【あらすじ】

何をするにも決断が遅いサラリーマン真夜井(まよい)の話。昼食のために立ち寄った中華料理屋でも注文が決まらず、同僚からは「自分たちの分を先に作ってくれ」とせかされる始末。そんな真夜井に喪黒は選択に悩んだときに使えば良いとあるステッキを渡す。

【感想】

一緒に食事に行ったときに注文を決めるのが遅い人、1グループに1人はいますよね。
私もけっこう遅いタイプで、特にはじめて入るお店は迷います。

そして、悩んだ挙句、当たり障りのない無難なメニューを頼んでしまうのですが、そんな私にとって「その結果の良し悪しは人生をやり直さない限り一生わからない」というフレーズが印象的でした。

結局、Aを選んでも「Bにすれば良かった」、Bを選んでも「Aにすれば良かった」となり、本当にどっちが良かったのかは神のみぞ知るというわけです。

食事のメニューなら「次来たときに別のも頼んでみよう」で済みます。
人生の選択の多くは常にベストでなくても良く、ベストだったのかも確認しようがありません。

それなら直感的に良さそうな方を、自分の意思でパッと選んだ方が効率的で、ストレスも少ないのでは?

「決断ステッキ」の結末とも重なりますが、自分で選ぶことを放棄するのがもっとも良くないのかもしれません。

「谷間のケヤキ」(第85話)

「谷間のケヤキ」(第85話)

「環境開発と自然保護のバランスは地球規模の問題ですが、それに人間の欲が絡むから非常に厄介です。」

【あらすじ】

路上にそびえ立つ大きな欅の木を愛する画家の木上(きがみ)。昔、その欅の周辺は森だったが、都市開発により残っているのはその木だけになってしまった。さらにその欅も伐採されることになり、木上は開発を進めようとする地主と衝突する。そこで喪黒は木上に対して、欅の伐採に反対するために木の上で暮らして抗議活動をするように促すのだった。

【感想】

「自然は大切にすべき」ということに反対する人はいないでしょう。
ただ、自然保護のために開発をいっさい中止するというのも現実的ではありません。

そこで重要になってくるのがバランスです。

ここ数年で頻繁に聞くようになった「SDGs(持続可能な開発目標)」はまさにそのバランスを意識した言葉だと思います。

しかし、環境開発も自然保護も行うのは人間なので、どうしても人間の欲が絡んでくるわけです。

例えば、SDGsを掲げている企業も、どこまでが自然保護のためで、どこまでが企業の利益のためなのか分からないケースがあります。
ただのトレンドとして消費するなんちゃってSDGsになってはいけないのです。

もともと難しい問題が、人間の欲が絡むことでさらに複雑にややこしくなるのは、おそらく自然保護に限った話ではありませんよね。

「シルバーバンク」(第94話)

「シルバーバンク」(第94話)

「人と人の付き合いは難しいもんですな。浅くちゃ物足りない、深けりゃ煩わしい。」

【あらすじ】

愛する妻と息子の3人で暮らしているサラリーマンの加手井(かてい)は、子どもの成長過程をホームビデオに残していた。ある日、「おじいちゃんと一緒」をテーマにしたホームビデオコンテストが開催されていることを知ったが、加手井とその妻の父親はどちらも他界していた。そんな加手井に喪黒は「あなたの家庭にぴったりなお年寄りを紹介する」というのだった。

【感想】

短いフレーズの中に人付き合いの真理のようなものが詰まっている印象です。
今は『笑ゥせぇるすまん』が放送されていた時代よりもずっとテクノロジーが発達していて、スマホひとつで多くの人とコミュニケーションをとれます。

ただコミュニケーションの本質的な部分に変化はなく、浅ければ満足できず、今度は深くなりすぎると煩わしく思うのです。
何事も適度であることが大切なのですが、相手がいる問題なのが難しいところ。

自分の適度と相手の適度が異なるなんてこともざらにあります。

「シルバーバンク」の中では相手との距離の測り方を間違えた結果、取り返しのつかない事態に……
物語のようなことにはならないにしろ、ネットを通じて多くの人と知り合う可能性のある現代はいっそう注意すべきだと感じました。

「同窓会」(第107話)

「同窓会」(第107話)

「友情と愛情を天秤にかけて、友情を取る人は不幸。愛情を取る人はもっと不幸。」

【あらすじ】

高校時代の同級生4人で定期的に集まって飲んでいるサラリーマンの堂木(どうき)。昔からの仲の良さは変わっていないが、いつものメンバーにマンネリを感じていた。そんな堂木に喪黒は次回の集まりにはクラスのマドンナだった窓名(まどな)を連れていくと約束するのだった。

【感想】

「友情と愛情のどちらを取っても、待っているのは不幸」というのは救われませんね。

たしかに自分自身の好きという気持ちに素直になれないのは不幸なことです。
しかし、友情よりも愛情を選べば、周りも巻き込んで不幸になる可能性があるということでしょうか?

「高校のときの同級生数名でひとりの女性を取り合う」という実際にありそうなシチュエーションに妙なリアリティを感じました。

「同窓会」のエピソードの中でいえば、思い出は思い出のままに、マドンナはみんなのマドンナのままにしておくべきだったのかもしれません。

あなたなら友情と愛情の選択を迫られたら、どちらを取りますか?

「弱肉強食」(第118話)

「弱肉強食」(第118話)

「人間の社会というのは強者と弱者、加害者と被害者から成り立っているのです。現代の適者生存の社会では、加害者は成功者と呼ばれ、被害者と敗残者と言われます。あなたは今日まで被害者として生きてきました。しかし、その針を人形の足に刺した瞬間から加害者の側に入れたのです。」

【あらすじ】

会社員の青菜(あおな)は腹が立っても怒れない弱気な性格で、同僚の牛河(うしかわ)などからいつもその性格をからかわれていた。青菜はそんな牛河を内心では恨んでおり、喪黒は青菜にある人形を手渡す。その人形に牛河の写真を巻き付け、喪黒が針を人形の手に刺したところ、翌日、牛河本人も手に怪我をしていたのだった。

【感想】

直接的にイジメたり、イジメられたりした経験がなくても、イジメを「見たことはある」「聞いたことはある」という人は多いでしょう。
そういう意味では、これまでの人生でイジメとまったく無関係だった人は少ないかもしれません。

「弱肉強食」の登場人物である青菜が牛河の行為をイジメと認識していたかは分かりませんが、少なくとも被害者と加害者という関係だったと思います。
ですが、喪黒から呪いの人形を貰ったことで、いつの間にか他者を屈服させる加害者の側に回るのです。

私はこの展開を見て、SNSでの誹謗中傷問題に近いと感じました。
最初は被害者だったのかもしれませんが、怨みが溜まりに溜まって、いつの間にか相手を攻撃するようになっていた。
呪いの人形がなくても、被害者から加害者になることはありますからね。

「強さ」とは何かを考えさせられるエピソードでした。

「安心カプセル」(第57話)

「安心カプセル」(第57話)

「人にはそれぞれ安心できる場所が必要ですが、いくら自分だけの世界に閉じこもろうとしても、社会生活を営んでいる以上、それは無理ですよね。」

【あらすじ】

憧れだった自動車の運転免許をようやく取得することができた51歳のサラリーマンの浦成(うらなり)。彼は以前、無免許運転で事故を起こしており、それ以来、家でも、会社でも肩身の狭い思いをしてきた。そんな浦成にとって車の中だけが心安らげる場所だったのだが、突然の故障でその車も失ってしまう。そこで喪黒は車の代わりになる安心できる場所を紹介するのだった。

【感想】

「安心カプセル」に出てくる浦成は、第2話「イージー・ドライバー」にも登場しており、同じ人物に2回も喪黒が接近するという珍しいパターンのお話です。
実は、自宅や会社での居場所を失う原因になった事故は喪黒にも責任があるのですが、アルコールのせいではっきりとは覚えていない浦成。

おそらく覚えていれば車という自分の居場所を失っても、喪黒に頼ることはなかったでしょう。

ただ、喪黒が最後に残した言葉は浦成の心の隙間・弱さを上手く表現しています。

現代に置き換えて考えて見ても、同様のことがいえるでしょう。
インターネットが発達したおかげで、他人とあまり関わらずに仕事をしたり、生活したりするのも難しくはありません。
ですが、どんなに自分の安心できる場所があったとしても、そこも社会の一部であることには変わりないのです。

「結婚したい女」(第15話)

「結婚したい女」(第15話)

「今や女が男を選ぶ時代です。しかし、女性もほどほどにしないと。傷・怪我・悔やみの3Kに泣くことにもなり兼ねませんので。」

【あらすじ】

いわゆる3Kの男性を理想とするOLの耐子(たいこ)。遊ぶ男性はいても、結婚を考えられる男性がおらず耐子は焦っていた。そんな耐子に喪黒はある南の島でのお見合いツアーを紹介するのだった。

【感想】

女性が男性に対して求める条件の3Kといえば「高身長」「高学歴」「高収入」の3つです。
バブル時代の価値観なので現代とは違うかもしれませんね。

ただ、「結婚したい女」に登場する耐子は3Kの男性こそが自分には釣り合っていると考えていました。

耐子は喪黒に紹介されたお見合いツアーで理想の男性に出会い、一晩を共にします。
しかし、後日、その男性の正体を知り後悔することになるのです。

話の中では女性への忠告のように描かれていますが、「自分が優位な立場だからといって調子に乗りすぎてはいけない」というのは年齢や性別に関係なく全員にいえることです。

特に現代はSNSやメール、電話などのデータが半永久的に残ってしまう危険性もあるわけですから。
どんなときでも、どんな相手にでも謙虚に、物事や人の上辺だけでなく中身を見ようとすることは大切ですね。

なぜSNSやメールという話が出てきたのかは、「結婚したい女」を見れば分かります。

「OB夫婦-妻のケース-」(第23話)

「OB夫婦-妻のケース-」(第23話)

「ゴルフのOBは打ち直しができますが、人生のOBってやつはなかなか打ち直しができないもんですな。」

【あらすじ】

ゴルフ初心者の主婦・虫味蝶子(むしみちょうこ)は、これまでコースに出たことがなかった。打ちっぱなしをしていた蝶子に喪黒はコースに出るためのコーチを紹介する。紹介されたコーチの魅力に惹かれ、ゴルフにもどんどんハマっていく蝶子だが、ある朝、ゴルフと夫のどちらを取るかの選択を迫られるのだった。

【感想】

『笑ゥせぇるすまん』は一話完結なのですが、この「OB夫婦」に関しては前編が夫、後編が妻のケースになっています。
前編と後編で夫と妻それぞれの立場からの喪黒との接触が描かれており、一話の時間が少し長いスペシャルということもあって通常よりも登場人物の人間性がよく伝わってきました。

喪黒の言葉を借りれば、前編の夫のケースはまだ「打ち直しができるOB」だったんだと思います。
しかし、妻のケースでは二人の関係性が取り返しのつかないことになってしまうのです。

個人的には失敗の多くは取り返しのつくものだと考えています。
大きな失敗をしないためにも、小さな失敗を早いうちにしておくことは重要です。

ただ、人生に関わるような失敗っていうのも、やっぱりあるんだと思います。

作中では前編と後編を通して出てくるオルゴールがとても印象的で、ぜひ多くの人に見てもらいたいエピソードです。
喪黒が夫婦に勧めたのはいずれもゴルフであり、もしかしたら二人の心の隙間は同じものだったのかもしれません。

「フクロウの目」(第42話)

「フクロウの目」(第42話)

「私なんかよりフクロウと一緒になった方が良いんでしょ。」

【あらすじ】

耳津(みみず)はフクロウの生態写真を撮るのがライフワークの売れないカメラマン。フクロウばかりを追いかけている耳津は妻に愛想を尽かされかけていた。喪黒は耳津に森のフクロウではなく、都会のフクロウ(政治家や芸能人のスクープ写真)を撮ればお金になると勧めるのだった。

【感想】

「好きなことを仕事にしたい」というのは、誰しも一度は考えますよね。
「フクロウの目」に登場する耳津邦夫は大好きなフクロウの生態写真を撮ることを仕事にしていますが、それだけで生活することはできません。

特に邦夫には妻も子どももいるので、喪黒から「フクロウも真夜中にせっせと餌を集めて雛を養っているんでしょ。あなたも家にいる雛を養わなければいけませんよ。」といわれてしまいます。

このエピソードの中で印象に残ったのは喪黒ではなく、邦夫の妻の「私なんかよりフクロウと一緒になった方が良いんでしょ。」という一言。
自分の好きなことばかりで、家族のことを考えていない邦夫に対して妻が放った言葉です。

好きなことを追求できるのは人として幸せな気がします。
それでも、家族がいる以上、どこかで線引きをしなければいけないのでしょう。

「私と仕事どっちが大事なの?」なんていうと恋愛ドラマのようですが、恋愛ドラマにはありえない結末になっています。

「若さ自慢」(第43話)

「若さ自慢」(第43話)

「若さを自慢すること自体、歳をとった証拠ですよ。」

【あらすじ】

とある企業で部長を務める50歳の若狭(わかさ)は、自分自身の若々しさを自慢に思っていた。しかし、ゴルフコンペの写真で自分の後ろ姿を見たときに、思っていたよりも自分は年老いているのだとうちひしがれる。そんな若狭に喪黒は念じるだけで若返るという人形を渡すのだった。

【感想】

まさにそのとおりですよね。
実際に若いときは、若いことを自慢しません。

もし「周りよりも若いな」とか「まだまだやれるな」なんて思ったら、それ自体が歳をとった証拠になるのです。

私も年齢より若く見られることが多いので、このフレーズにドキッとしました。
もちろん、若々しくいようとするのは悪いことではありませんが、若さにしがみつこうとするのは危険です。

喪黒から怪しい人形を貰うことはなくても、効果の分からない商品に大金を出したり、年齢に合わない服装をしたりするなど、客観的に自分を見られなくなるかもしれません。

このエピソードを見たときにオスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』が思い浮かびました。
若さや美しさへの執念というのは、いつの時代にも存在する変わらないテーマなのでしょうね。

「空の上の空地」(第82話)

「空の上の空地」(第82話)

「子供に返った目で見ると、大人って馬鹿馬鹿しいことしているもんだな。」

【あらすじ】

小さい頃に遊んでいた空き地がなくなることを寂しく思っていたサラリーマンの賀来(がき)。田舎のない東京育ちの加来にとって、空き地こそが心の故郷。賀来は都市の再開発が進むことに郷愁を感じていたのだ。そんな賀来に喪黒は「とっておきの空き地を紹介する」といって、とあるビルの屋上に連れて行くのだった。

【感想】

これは喪黒に紹介してもらった空き地で童心に帰って遊ぶようになった加来が、夜の街で酒に酔う人々を見ていったセリフです。

夜の街では飲みすぎて同僚に介抱してもらったり、酔っ払って飲み屋の女将に絡んだりする大人たちがおり、子どもの目から見ればその光景はとても馬鹿馬鹿しくうつったのでしょう。

確かに気持ち悪くなると分かっているのに、飲みすぎてしまうというのは馬鹿馬鹿しいことかもしれません。

また、​​​​加来は喪黒に対して「ビー玉やメンコ、大人から見れば何の価値もないガラクタ。それらは私たち子どもにとって何よりの宝物でした。」ともいっています。

目線が変われば大切なものも変わるということですね。

このような印象的なフレーズを残した加来ですが、物語としては救われない結末を迎えるのが残念です。
喪黒が忠告したように「大人の世界の汚れたもの」を子どもの世界に持ち込んではいけなかったのでしょう。

「リストラの男」(第125話)

「リストラの男」(第125話)

「セールスの真髄は商品を売るより、自分を売ることです。あまり早く結果を求めてはいけません。自分を売り込むことに成功すれば結果は自ずと付いてきますよ。」

【あらすじ】

リストラによって事務仕事から営業の部署へ異動することになった自動車会社に務める彼木(かれき)。慣れない自動車のセールスに結果を出せずに悩んでいる彼木に喪黒はコーチとして只野(ただの)を紹介するのだった。只野の仕事のやり方からセールスの真髄を学ぼうとする彼木。そんな彼木に喪黒は急いではいけないと忠告するのだった。しかし、彼木は結果を出したいというプレッシャーに負けてひとりで営業に行ってしまう。

【感想】

喪黒が同じ セールスマンである彼木に対して話したセールスの真髄。
おそらくセールスマンだけでなく、すべてのビジネスパーソンにとって重要なことです。

複数のエピソードでお客が「どうにかしてほしい」と何度も喪黒を頼るシーンが描かれており、それは自分を売り込むことに成功しているからでしょう。

基本的に一話10分ということもあって、喪黒がお客の悩みを解決するまではスピーディですが、喪黒は相手の悩みを深く理解するために、事前にお客の情報を調べていたような描写も作中に多数あります。

喪黒レベルのセールスマンも時間をかけて下準備をし、喪黒に任せるべきか悩んでいる人に対しては「ドーン!」の一言で後押しするのです。

ただ、喪黒に関しては、「結果=お客の幸せ」とは限らないようです。
一時的に相談者の悩みを解決してはいるものの、最終的に誰から見ても幸せな状態になったという人はほぼいません。

その多くは喪黒との約束を破ったり、忠告を無視したりしたのが原因ですが……
そのお客が破滅に向かう様子に喪黒は驚いたり、ガッカリしたりはせずに、どちらかといえば呆れているように見えます。

「そもそも喪黒はなぜ人々の心の隙間を埋めようとボランティアでセールスマンをしているのか」「喪黒にとって心の隙間を埋めた先にある目的は何だったのか」を考えさせられました。
この点はアニメの全話を通して個人的に興味深いポイントです。

まとめ

『笑ゥせぇるすまん』の全126話から主観でピックアップした印象的なフレーズを紹介してきました。
どんなフレーズが心にささるかは、見る人、見るタイミングによっても違ってくると思います。

Amazonプライムビデオなどのサブスクを契約している人は、配信されていないかぜひチェックしてみてください。

過去に『笑ゥせぇるすまん』を見ていたという人も、改めて見返すと違った印象を受けるかもしれません。

心の隙間が埋まるかは分かりませんが、一話10分なので時間の隙間はぴったり埋めてくれるはずです。